ALOHA.
「今日は予報通りに一日中雨、冷たい雨だ。泪(なみだ)雨って感じ。」
そう言えば、台東区の山谷に「泪橋(なみだばし)」ってのがあったな。
昔々、南千住に処刑場があって・・・。
罪人が家族と最後の別れをして、この橋を渡り処刑場に向かった。
「現在は、全てを無くしてしまった人が泪橋を渡って山谷へ向かう。」
昔、社会人3年目頃に興味本位で山谷で飲んだ後にドヤに泊まった。
※ドヤ(俗称)=簡易宿所
3畳一間、小さなTVと布団一式そしてハンガーが2本。
靴はドアの外。
朝7時に起きて・・・二日酔いの頭で「会社に行かなきゃあ。」
「ありゃーーーっつ!」
ハンガーに掛けていたスーツとYシャツ、そしてネクタイが無い!
ドアの外で脱いだ靴が無い!
そう、全て盗まれた。
財布等は敷布団の下に入れていたので無事だった。
パンツ一丁で小さなフロントの窓口に行き、
「あのーっ、スーツや靴が無くなった。」
「あー、やられちゃったね。」
「鍵をちゃんと掛けたかい?靴は部屋の中に入れとかないと。」
「鍵を掛けたかな?・・・これじゃあ会社に行けない。」
「取り敢えず、私のジャージ上下を貸してあげるよ、後サンダルも。」
「スーツ姿でこの街に来ちゃあ駄目だよ。」
汚いジャージ上下にサンダル履きで・・・取り敢えず帰宅。
自宅に帰りシャワーを浴びて・・・スーツに着替えて会社へ。
数日後の土曜日、洗濯したジャージ上下とサンダルを返しに行った。
「おう、返しに来ると思わなかった。じゃあこれをあげるよ。」
と言って1枚の紙をくれた。
その紙には「パン券」と書いてあった。
「何ですか?これは?」
「いやーあ、宿泊料が払えない人が、このパン券を置いて行くんだよ。」
「これを食堂に持って行くと定食が食べられるよ。」
「ありがとうございます。じゃあ食べてから帰ります。」
「ビールは、その券では飲めないからね。酒類は現金でな。」
「分かりました、ありがとうございます。」
「懐かしいな?でも非常に怖い街でもある。そして非常に臭い街だ。」
MAHALO.