昔話だけど・・・

9121-3

Aloha!!!

 

「長い間生きていると色々な体験をしてきた。広告代理店勤務時代のお話を。」

 

朝から少し嫌な話・・・急に思い出したため。

 

昔々のお話。

「世の中は俺を中心に回っているな!」と広告代理店の社員が勘違いしていた時代。

セカンドバックを脇に抱え、蒲鉾型の携帯電話を持ち、銀座の街を闊歩していた。

 

現在は大きなビルに全ての局が入居しているが、

おっさんが勤めていた時代は局ごとにビルが散らばっていた。

おっさんが所属していたセールスプロモーション局は築地市場の側。

 

※出て来る人名は全て仮名です。(但し、おっさんは実名)

 

朝、9時半頃に会社の建物の前が妙にざわついていた。

ロビーから人が溢れて歩道まで社員が。

「おや?何があったんだ?エレベーターが壊れているのかな?」

「大変だよ!誰かが自殺したらしいぞ!」

「えっつ!このビルの中でか?」

「違う!イースト〇〇ホテルで・・・女が・・・山田って女が・・・。」

「山田?あれ?聞いた事あるぞ・・・確かグループ会社の子?」

「そうだ。その女だ。」

「おう!香水プンプンしてた女だ。結構な年だよ・・・確か40過ぎか。」

「そうだよ、その女が自殺したんだよ。」

「だからって、何でここに皆が溜まってるんだ?」

「中を見て来いよ。」

ロビーに入っていくと・・・。

 

ロビーの壁一面に、赤いマジックで「金子死ね!」の殴り書き。

エレベーターの中まで・・・、

そして全てのフロアーの踊場までが「金子死ね!」の殴り書きが。

背筋が寒くなってきた。

 

席に着くと上司が、

「溝内、業務推進の金子と一緒に作業してなかったっけ?」

「九州のクライアントの作業で一緒ですが・・・まさか金子って・・・。」

「そうだよ!その金子だよ。山田と不倫してたのか?」

「えっつ!全く知ら無かった。明後日も九州に一緒に行く予定ですが。」

「そうか・・・。」

 

全容はこうだ・・・。

・妻子持ちの金子が子会社の女性山田と不倫していた。

・金子が離婚してくれない(金子が何か?旨い事を言って不倫していたんだろう。)

・深夜山田が会社に入り込み壁一面「金子死ね!」の殴り書きをした。

・殴り書きの後イースト〇〇ホテルへ。

(ホテルは山田が金子の名前で予約していた。)

・そしてホテルの部屋で首つり自殺。

・「お宅の社員の金子さんが自殺した。」とホテルから会社に連絡があった。

・会社が金子の自宅へ連絡を取るが「今、会社へ向かいました。」と奥さん。

 

「しかし・・・金子さんは凄く真面目な人ですよ、頭も切れるし。」

「そうなんだよな。金子の上司も凄く驚いていたよ。」

「どうなるんでしょうか?金子さんは・・・解雇?」

「解雇は無いと思うが・・・どうだろう?想像もつかないな。」

「当然、明後日の九州での打ち合わせは来れないですね。」

「だろうな・・・。」

 

夕刊に「イースト〇〇ホテルで女性自殺」と小さく載っていた。

勿論、会社名は出ていない。

 

二日後。

羽田で営業担当者と待ち合わせをしていると、

なんと金子さんが「悪い!悪い!遅くなった。」と言いながらやって来た。

「えっーーーつ!金子さん?大丈夫だったんですか?」

「おう!大丈夫!大丈夫!幹部から『今後気を付けろ』って言われた。」

「それだけで・・・終わり?」

「まあね。1時間説教食らったけどね。さあ行くか!」

おっさんと営業担当者が顔を見合わせて「この会社・・・怖いな!」

「会社も怖いけど・・・この人の心臓は何で出来ているんだろう?」

 

「広告代理店の常識は世間の非常識」の良い例だと思った。

「金絡みや女絡みの話は腐るほどあった・・・」

 

「こんな事が普通の企業で起きるのかな?って事が頻繁に起きるの広告代理店。」

 

Mahalo.